経済のお勉強:トレンド編

(2024/3/18 ver.0.01)
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1.What's new

もくじ

1.1 テクニカル分析

1. テクニカル分析とは
  • テクニカル分析にはオシレーター系の方法とトレンド系の方法があります。
  • オシレーター系の方法にはさまざまなものがありますが、共通しているのは「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を計測する点です。
  • そして、その反転を予測して「逆張り」をするためのサインとして用いる点です。
  • RSI、サイコロジカルライン、ストキャスティクスなど様々なものがありますが、 それらの指標は上下に振れるグラフで描かれるのが一般的です。
  • 一方トレンド系は、現在の相場の方向性を計測し、その方向に順張りをするために用いられます。
  • 移動平均線、DMIなど様々なものがあります。

1.2 オシレータ

1. オシレータとは
  • オシレーターとは「振り子」や「振り幅」という意味で、投資用語では「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すテクニカル分析手法です。
  • オシレーター系の代表的な指標は、「RSI」「ストキャスティクス」「ボリンジャーバンド」など。
  • 相場の流れを読むトレンド系に対し、オシレーター系は相場の変化の大きさで判断します。
  • なお、オシレーター系は逆張り投資に有効なテクニカル指標とされています。
2. オシレータの代表的な指標
  • MACD
    • MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、「マックディー」と読みます。
    • 日本語に訳すと移動平均収束拡散となります。
    • 移動平均線を応用したテクニカルの手法で、2つの移動平均線を使用して、買いと売りのタイミングを判断することができます。
    • 移動平均線は一般的に使用されるSMA(単純移動平均線)と異なり、昨日や今日といった直近の価格の比重が重いEMA(指数平滑移動平均線)を使用します。
    • MACDは数あるテクニカル手法の中でも比較的精度が高いとされ、特に新規売買のシグナルとトレンドの方向性を認識するのに有効とされています。
  • RSI
  • DMI/ADX
  • ストキャスティクス
  • RCI

1.3 トレンド

1. トレンドとは
  • 単純移動平均
  • 指数平滑移動平均
  • ボリンジャーバンド
  • 一目均衡表
  • スーパーボリンジャー
  • スパンモデル
  • 平均足

以上

2.オシレータ

もくじ

2.1 オシレータとは

1.オシレータとは
  • オシレーターとは「振り子」や「振り幅」という意味で、投資用語では「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すテクニカル分析手法です。
  • オシレーター系の代表的な指標は、「RSI」「ストキャスティクス」「ボリンジャーバンド」など。
  • 相場の流れを読むトレンド系に対し、オシレーター系は相場の変化の大きさで判断します。
  • なお、オシレーター系は逆張り投資に有効なテクニカル指標とされています。
2.オシレータの代表的な指標
  • MACD
  • RSI
  • DMI/ADX
  • ストキャスティクス
  • RCI

2.2 MACD

1.MACDとは
  • MACD(マックディー)とは「Moving Average Convergence Divergence」略であり、日本語訳で「移動平均線収束拡散」と呼びます。
  • 移動平均線という言葉が使われていることからもわかる通り、移動平均線を改良したテクニカル指標です。
  • MACDはより新しいデータに比重を置くという考えのもとで算出され、SMA(単純移動平均線)ではなくEMA(指数平滑移動平均線)が使われます。
  • そのため値動きにより素早く反応する性質を持ち、トレンドの初動を予測するのに役立つテクニカル指標です。

2.3 RSI

1.RSIとは
  • RSIはADXやパラボリックなどを開発した、「J.Wワイルダー」氏によって開発されたテクニカル指標です。
  • 「Relative Strength Index」の略であり、日本語で「相対力指数」と呼びます。
  • 簡単に解説すると、売られすぎか買われすぎかを判断するためのテクニカル指標です。
  • RSIはサブチャートに表示され、過去の一定期間の変動幅における上昇分の値動きの割合が0~100%の数値で示されます。
  • 一般的に割合が70%以上なら買われすぎ、30%以下なら売られすぎと判断します。
  • ラインの割合がどの位置にいるかで相場の過熱度を把握することが可能なため、相場分析がしやすく初心者に人気のあるテクニカル指標の一つです。

2.4 DMI

1.DMIとは
  • DMIは「Directional Movement Index」の略語であり、日本語で「方向性指数」と呼びます。
  • オシレーター系指標の代表格であるRSIを開発した「J.W.ワイルダー」氏が考案したテクニカル指標です。
  • 「+DI」「-DI」「ADX」という3本のラインでトレンドの有無や強弱を判断する指標で、トレンド相場で機能しづらいというオシレーター系指標の弱点をカバーするものとして開発されました。
2.「+DI」とは?
  • +DIは上昇力の強さを示します。
  • 相場が上昇すると+DIも上昇し、相場が下落すると+DIは下降する傾向があります。
3.「-DI」とは?
  • -DIは下降力の強さを示します。
  • 相場が下落すると-DIは上昇し、相場が上昇すると-DIは下降する傾向があります。
4.ADXとは?
  • ADXはトレンドの強さを示します。
  • 上昇相場か下降相場かに関わらず、トレンドの勢いが強くなるほどADXは上昇します。

以上

3.移動平均

もくじ

3.1 移動平均線とは

1.移動平均線とは
  • 移動平均線とは、一定期間の平均価格を線でつなぎ、ジグザグした値動きのブレを慣らして価格トレンドの方向や強さを見るためのテクニカルチャートです。
  • FXチャートに限らず、テクニカル分析の中で最もポピュラーで基本的な分析手法です。
  • 移動平均には単純移動平均、加重移動平均、指数平滑移動平均など計算方法によって様々な種類がありますが、基本となる単純移動平均を例に説明します。
2.単純移動平均線の計算方法
  • 最も基本的な移動平均線は単純に一定期間の価格の平均値を出して結んだ単純移動平均線(SMA)です。
  • 単純移動平均線は、一定期間の終値の平均値を結んで求めます。
  • 例えば5日移動平均線の場合は、直近5日間の終値を合計して5で割った値を出します。
  • 1月5日の値であれば1月1日から1月5日の5日間、1月6日の値であれば1月2日から1月6日の5日間…のように 平均をとる期間を移動させていき、平均値を線で結んで作成します。
3.移動平均線の種類
  • 移動平均線にはいくつかの種類があります。
  • 例として、各日の終値が次のようになっていた場合のそれぞれの移動平均における5日移動平均の値を示します。
  • 1日目2日目3日目4日目5日目
    100円200円300円400円500円
4.単純移動平均線(SMA)
  • 単純に一定期間の価格の平均値を出して結んだもの。
  • $\Large \displaystyle \frac{100+200+300+400+500}{5}=300円$

5.指数平滑移動平均線(EMA)
  • 直近の価格に比重をかけて計算する移動平均線。
  • 最新の価格をより強く反映するため、単純移動平均線よりも直近の値動きに敏感に反応し、トレンドの転換を早めに察知しやすいとされます。
  • $\Large \displaystyle \frac{100+200+300+400+500+500}{5+1}=333.33円$

  • 特に指数平滑移動平均線は価格の変化に対する反応が早いとされ、MACDなどの他のテクニカル指標にも応用されています。
6.加重移動平均線(WMA)
  • 一定期間の価格に対して、新しいデータほど大きくなるように比重をかけて計算する移動平均線。
  • $\Large \displaystyle \frac{100\times 1+200\times 2+300\times 3+400\times 4+500\times 5}{1+2+3+4+5}=366.66円$

3.2 移動平均線の見方

1. 上昇トレンドと下落トレンドを表す
  • 移動平均線は、上向きなら上昇トレンド、下向きなら下落トレンドを表します。
  • また、角度が大きいほどトレンドの勢いが強いことを示します。
2. レンジ相場を表す
  • また、移動平均線とローソク足の位置関係からトレンドを読み取ることもできます。
  • ローソク足が移動平均線より上にある場合は上昇トレンド、下にある場合は下降トレンド、ローソク足と移動平均線が絡み合う状態であればレンジ相場と判断できます。

3.3 移動平均線の期間設定

1. 上昇トレンドと下落トレンドを表す
  • 移動平均線で平均をとる期間について決まりはありませんが、多くのトレーダーが使っている期間ほど機能しやすいと言えます。
  • なぜならば相場は、より多い投資家の心理と行動を反映して動いているからです。
  • 例えばよく用いられる期間(日足の場合)は次のようなもので、短期線、中期線、長期線に分類されます。
  • 始めはこのような期間設定から使ってみるとよいでしょう。

3.4 移動平均線の使い方

  • 基本的な見方だけでなく、次のような使い方を覚えると移動平均線をさらに活用することができます。
1. ゴールデンクロス
  • 短期線が長期線を下から上へ突き抜けた場合を「ゴールデンクロス」と呼び、価格上昇を示す買いサインとされます。
  • 実際のチャートで見てみましょう。
  • これは豪ドル/円(AUD/JPY)の日足チャートです。黄色丸では緑の短期線(20日)が黄色の長期線(100日)が上抜けてゴールデンクロスが発生しています。
  • 実際にもその後の価格が上昇していることが分かるでしょう。
  • ただしゴールデンクロスが発生しても下落する場合もあり、必ずしもパターンどおりに上昇するわけではありません。
2. デッドクロス
  • 反対に、短期線が長期線を上から下へ突き抜けた場合は「デッドクロス」と呼び、下落を示す売りサインとされます。
  • 実際のチャートで見てみましょう。
  • これは豪ドル/円(AUD/JPY)の日足チャートです。
  • 黄色丸では緑の短期線(20日)が黄色の長期線(100日)を下抜けてデッドクロスが発生しています。
  • 実際、その後の価格は下落しました。
  • ただしデッドクロスが発生しても価格が上昇する場合もあるため、必ず下落するわけではないことに注意しましょう。
3. 乖離率
  • チャート上に移動平均線を表示すると、移動平均線と価格が近づいたり離れたりするのを繰り返していることがわかります。
  • そして、価格が移動平均線から一定以上離れると、価格が反転しやすいという性質が知られています。
  • 価格が移動平均線からどれくらい離れているかを示す指標を「乖離率(かいりりつ)」といいます。
  • 乖離率が大きくプラス方向へ傾くと買われすぎを示す(=売りサイン)、反対に大きくマイナス方向へ傾くと売られすぎを示す(=買いサイン)とされます。
  • 売られすぎ・買われすぎと判断する乖離率の目安は、過去の乖離率の推移から判断するため、使用する移動平均線の期間や相場状況などによって変わります。
  • まず過去の乖離率がどれくらいの範囲で推移しているかを確認します。
  • 乖離率の一般的な見方は、「1.1000=+10%、0.9000=-10%」です。
  • もし過去の乖離率が-10~+5%(0.9000~1.0500)の間で推移しているならば、-10%付近が買いの目安、+5%付近が売りの目安となります。

3.5 移動平均線をさらに使いこなす方法

  • さらに、移動平均線には次のような活用のしかたもあります。
  • 少し難易度が上がりますが、移動平均線を最大限に活用したい場合は意識してみるとよいでしょう。
1. グランビルの法則
  • グランビルの法則とは、米国のアナリストであるジョゼフ・E・グランビル氏が考案した、移動平均線の傾きや価格との位置関係などから売買サインを読み取る理論です。
  • グランビルの法則では、次のような8通りのパターンから売買サインを読み取ります。
  • 買いサイン
    • ①上向きまたは横ばいの移動平均線を価格が下から上へ抜けた場合
    • ②上向きの移動平均線を価格が一時下抜けた後に、再度上抜けた場合
    • ③上向きの移動平均線の近くまで価格が下落し、移動平均線を下抜けることなく再度上昇した場合
    • ④価格が下向きの移動平均線の下に大きく乖離した場合
  • 売りサイン
    • ⑤上昇から横ばいまたは下向きに転じた移動平均線を、価格が上から下に抜けた場合
    • ⑥下向きの移動平均線を価格が一時的に上抜けた場合
    • ⑦下向きの移動平均線の近くまで価格が上昇し、移動平均線を上抜けることなく再度下落した場合
    • ⑧価格が上向きの移動平均線の上に大きく乖離した場合
  • ただし、8つのパターンが上記の順番通りに現れることは少なく、また全てのパターンが必ず現れるとも限りません。
  • グランビルの法則を活用する際は、その点をよく理解しておきましょう。
2. 移動平均線と他のテクニカル指標を組み合わせる
  • テクニカル指標は万能ではなく、それぞれ特定の相場状況では機能しにくいといった弱点があります。
  • しかし、2つ以上の指標を組み合わせることで、それぞれの弱点を補うことができます。
  • その具体例として、移動平均線とRSIを組み合わせる方法があります。
  • 移動平均線はトレンドを読み取るのに有効ですが、レンジ相場での売買判断には活用しにくいという弱点があります。
  • 逆にレンジ相場で力を発揮するのがRSIです。
  • RSIは現在の相場が上昇と下降のどちらに傾いているのかを示すテクニカル指標で、 0%から100%の数値で「買われすぎ」「売られすぎ」を判断します。
  • RSIには大きなトレンドがあるときは機能しにくいという弱点がありますが、 トレンドの読み取りを得意とする移動平均線を組み合わせることで、 両者の弱点を補い合って予測の精度を上げることができます。
  • RSIは一般的に70~80%を超えると買われすぎ、20~30%を下回ると売られすぎと判断されますが、 大きなトレンドが発生している場合、これらが誤ったサインとなる場合が多くなります。
  • そのため、移動平均線が横ばいになっていて大きなトレンドが発生していないときにRSIの売買サインを活用することで精度を高める方法が用いられます。

3.6 移動平均線を活用する際の注意点

  • 移動平均線は相場の状況をつかむのに役立ちますが、正確に相場を予測できるわけではなく、誤ったサインが表れる場合もあります。
  • このような誤ったサインを「ダマシ」といいます。
  • 例えば移動平均線では「ゴールデンクロスが出ると買いサイン」「デッドクロスが出ると売りサイン」というパターンが知られていますが、 これらのサインがダマシとなることもあります。
  • なぜなら、これらのサインは予測しやすいため、相場の裏をかいて利益を得ようとするトレーダーの動きにより、パターン通りの値動きにならないことがあるからです。そのため、これらの売買サインに従って取引しても、損失を出す結果になってしまう場合もあるのです。
  • ダマシを回避するためには、他のテクニカル指標と合わせて使うことや、ファンダメンタルズ分析など他の情報も活用して総合的に判断することが重要です。

以上

4.ボリンジャーバンド

もくじ

4.1 移動平均に統計学をプラスした

1.ボリンジャーバンドとは
  • ボリンジャーバンドは、米国の投資家ジョン・ボリンジャーが考案したテクニカル指標です。
  • 単純移動平均線を中心として、その上下に標準偏差と呼ばれるバンドを表示します。
  • 標準偏差とは、データのばらつき度合いを示す統計学的な値です。
  • ボリンジャーバンドの上下のラインには「±1σ標準偏差」や「±2σ標準偏差」などがあり、
  • 下記の確率で過去のレートの値がそれぞれのラインの間の範囲内に収まるとされています。
  • 標準偏差範囲内に価格が収まる確率
    ±1σ約68.3%
    ±2σ約95.4%
  • 上下の線はおおむね移動平均線に沿う形になっていますが、所々で幅が広くなったり狭くなったりしています。
  • これは価格の変動率(ボラティリティ)を反映しており、バンドが拡大していれば値動きが大きいこと、縮小していれば値動きが小さいことを示します。

4.2 ボリンジャーバンドの使い方

  • ボリンジャーバンドには特徴的な形状があります。
  • 覚えておきたいのが「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」「ボージ」の4つです。
1.スクイーズ
  • バンドの幅が狭くなっている状態をスクイーズといい、もみ合い相場を意味します。
  • スクイーズの状態ではボラティリティが低く、取引をしても大きな利益を期待できる相場状況ではありません。
2.エクスパンション
  • バンドの幅が拡大している状態をエクスパンションといいます。
  • ボラティリティが高まっていることを意味し、トレンド発生時に見られます。
  • エクスパンションの発生時には、大きな利益を期待できる相場状況と言えるでしょう。
  • またボリンジャーバンドを使った取引手法の代表的なものとして、バンドの形状がスクイーズからエクスパンションに移行するタイミングを狙ってエントリーする方法があります。
  • 具体的にはバンドの幅が拡大し、ローソク足の終値が±2σのラインを超えたら順張りでエントリーします。
  • つまり、+2σのラインを上抜けたら買い注文、-2σのラインを下抜けたら売り注文を出します。
  • このようにレンジ状態を経て価格が±2σのラインを超えることを「ボラティリティ・ブレイクアウト」といいます。
  • ボラティリティ・ブレイクアウトは、レンジ相場が終わり、トレンドが発生する可能性が高いことを示唆します。
  • 上記はそのタイミングで、トレンドの初動に乗って利益を出すことを狙う方法です。
  • また、決済のタイミングについては、ローソク足が抜けた方と反対側のラインの動きを見て判断します。
  • 反対側のラインが方向を変えたらトレンドがある程度継続したということであり、そのタイミングが決済の目安とされています。

5.一目均衡表

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5.1 一目均衡表とは

  • 一目均衡表は、昭和初期に細田悟一という人物が7年の年月と約2,000人の人手を費やして完成させた日本発のテクニカル分析です。
  • 根底にある理論は非常に難解ですが、日本国内だけでなく海外の投資家からも支持されている人気の分析手法です。
1.一目均衡表は3つの理論から成り立つ
  • 時間論
    • 時間論は「いつ相場が変化するのか」といった「時間」に重きを置く考え方で、一目均衡表を使った分析において最も重要な視点であると言われています。
    • 一目均衡表では「9、17、26」を基本数値、「33、42、52、65、76」などを複合数値と呼びます。
    • そして、相場の流れはこれらの数値分の日数(9日、17日など)が経過したタイミングで変化しやすいと予測します。
  • 波動論
    • 波動論はチャートの波の形から相場を分析する方法で、チャートの波形には次の3つのパターンがあると考えます。
    • ①「上げのみ」または「下げのみ」の「I波動」
    • ②「上げ→下げ」または「下げ→上げ」の「V波動」
    • ③「上げ→下げ→上げ」または「下げ→上げ→下げ」の「N波動」
    • 相場ではI波動とV波動が繰り返され、最終的にN波動になるとされます。
  • 水準論
    • 水準論は値幅観測論とも言われ、直近のチャートから次の上値や下値を予測する方法です。
    • 代表的なのは次の4種類です。
    • ①V計算値
      • BからCへ下落した分の倍、Cから上昇する。
    • ②N計算値
      • AからBへ上昇した分、Cから上昇する。
    • ③E計算値
      • AからBへ上昇した分をBに乗せた価格まで、Cから上昇する。
    • ④NT計算値
      • AとCの差分だけ、Cから上昇する。

5.2 一目均衡表の見方

  • 一目均衡表には基準線、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパンの5つの線があります。また、先行スパン1と先行スパン2の間の部分を「雲」と呼びます。
  • これらの位置関係に注目することで、様々なサインを読み取ることができます。
1.基準線
  • 基準線は過去26日間の最高値と最安値の平均を結んだ線です。
  • 中期のトレンドを表し、上向きの基準線は上昇トレンド、下向きの基準線は下落トレンドを示します。
2.転換線
  • 転換線は過去9日間の最高値と最安値の平均を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。
3.先行スパン
  • 先行スパンには先行スパン1、先行スパン2の2つがあります。
  • 先行スパン1は基準線と転換線の平均値を26日先行させて表示した線です。
  • 先行スパン2は過去52日間の最高値と最安値の平均値を26日先行させて表示した線です。
  • 先行スパン1と2の間の帯状の部分を「雲」と呼びます。
4.遅行スパン
  • 遅行スパンは当日の終値を26日前に遅行させて表示した線です。
  • 遅行スパンを見ることで、当日の価格と26日前の価格を比較することができます。

5.3 一目均衡表の使い方【基本編】

  • 一目均衡表の根底にある理論は非常に難解ですが、相場分析のための基本的なポイントを押さえるだけであれば、 初心者にもそれほど難しくはありません。
  • ここでは一目均衡表の基本的な使い方を紹介します。
1.時間足は日足が一般的
  • 一目均衡表を使う際の時間足については、考案者が「日足を使うべきである」としています。
  • 時間論で用いられる9、17、26といった基本数値も、日足で分析することを前提としたものです。
  • そのため、一般的に一目均衡表を使う際は日足が用いられます。
2.転換線と基準線の使い方
  • 前述の通り、基準線は中期のトレンドを表し、上向きの場合は上昇トレンド、下向きの場合は下落トレンドを示します。
  • また、上向きの基準線の上にローソク足がある場合は上昇の勢いが強いこと、下向きの基準線の下にローソク足がある場合は下落の勢いが強いことを示します。
  • さらに、転換線と基準線が交差するポイントは相場の転換の目安とされ、転換線が基準線を上に抜けると上昇トレンド発生、下に抜けると下落トレンド発生のサインとされます。
3.先行スパン1と先行スパン2の使い方
  • 先行スパン1と先行スパン2の位置関係を見ることで、相場のトレンドを読み取ることができます。
  • 2本の先行スパンのうち、先行スパン1が上にあるときは上昇相場、先行スパン2が上にあるときは下落相場の傾向があります。
4.遅行スパンの使い方
  • 遅行スパンとローソク足の位置関係からも、売買サインを読み取ることができます。
  • 遅行スパンがローソク足を上抜けると買いサイン、下抜けると売りサインとされます。
5.雲の使い方
  • 先行スパン1と先行スパン2の間の部分を「雲」と呼び、雲とローソク足との位置関係から相場の動向を読み取ることができます。ローソク足が雲より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下落トレンドであることを示します。
  • また、ローソク足が雲に突入するとトレンド転換の目安とされます。
  • ローソク足が雲を下から上に抜けると上昇(買い)サイン、上から下に抜けると下落(売り)サインとなります。雲は上値抵抗線や下値支持線として機能し、「雲」が厚いほどローソク足が「雲」を突破しづらいと言われています。
  • さらに、2本の先行スパンが交差した部分を「雲のねじれ」と呼び、このポイントで相場の流れが変わる可能性が高いとされます。

5.4 一目均衡表の使い方【応用編】

  • 上記のように、一目均衡表からは様々な情報を読み取ることができますが、複数のサインが揃うと「三役好転」や「三役逆転」と呼ばれ、より強いサインを示します
1.三役好転
  • 次の3条件が揃うと「三役好転」と呼ばれ、強い買いサインとなります。
    • 転換線が基準線を上抜ける
    • 遅行スパンがローソク足を上抜ける
    • ローソク足が雲を上抜ける
2.三役逆転
  • 逆に次の3条件が揃った場合は「三役逆転」と呼ばれ、強い売りサインとなります。
    • 転換線が基準線を下抜ける
    • 遅行スパンがローソク足を下抜ける
    • ローソク足が雲を下抜ける

5.5 一目均衡表を使う際の注意点

  • 一目均衡表を使った分析は多くの投資家に利用されている人気の手法ですが、他のテクニカル指標と同様、誤ったサインである「ダマシ」が発生することもあり、必ず利益が得られるわけではありません。
  • 一目均衡表に限らず、取引の際は一つの指標だけを見て判断するのではなく、他のテクニカル分析やファンダメンタルズも参考にして総合的に判断することが大切です。

以上

6.スーパーボリンジャー

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6.1 スーパーボリンジャーとは?

1.スーパーボリンジャーとは?
  • スーパーボリンジャーとは、マーフィーと呼ばれている元証券ディーラー、柾木利彦氏が考案したテクニカル指標です。
  • 柾木氏が考案した指標にはスパンモデルもあり、両指標の併用が推奨されており、スーパーボリンジャーはスパンモデルの補助的な役割とされています。
  • 併用方法としては、日足のスーパーボリンジャーで大きな方向性を確認して、60分足のスパンモデルで売買判断をするやり方などがあります。

  • スパンモデル(左) スーパーボリンジャー(右)
2.ボリンジャーバンドとの違い
  • 名前からも分かるように、スーパーボリンジャーはボリンジャーバンドをベースとしたテクニカル指標です。
  • 通常のボリンジャーバンドに一目均衡表の「遅行スパン」を加えて、スーパーボリンジャーとなります。

  • スーパーボリンジャー
  • なお一目均衡表の遅行スパンはパラメーターが「26」ですが、スパンモデルのパラメーターは「21」であることが決定的な違いです。
  • またボリンジャーバンドでは±2σ(シグマ)のケースが多いですが、スーパーボリンジャーでは±3σまで使います。
  • スーパーボリンジャーは、見た目こそボリンジャーバンドと遅行スパンだけの単純なイメージかも知れません。
  • しかしここに柾木氏の手法が加わることで、ボリンジャーバンドとは異なる、オリジナルの分析手法へと昇華されているのが大きな特徴です。
  • ボリンジャーバンドとスーパーボリンジャーの違いをまとめると以下です。
  • ボリンジャーバンド スーパーボリンジャー
    ±2σ〜±3σを任意で使う ±3σまでを使う
    中心線は(主に)20日SMA 中心線は21日SMA
    一目均衡表 遅行スパンのパラメーターはn=21

7.スパンモデル

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7.1 スパンモデルとは?

1.スパンモデルとは?
  • スパンモデルとは、マーフィーの愛称で知られる、元証券ディーラーの柾木利彦氏が考案したテクニカル指標です。
  • 柾木氏が考案したものにスーパーボリンジャーもあり、2つのテクニカル指標を併用することが推奨されています。
  • スパンモデルとスーパーボリンジャーは短期売買から長期売買まで柔軟に対応することから、高い人気を誇るテクニカル指標となっています。
  • まず、スパンモデルの根底にあるのは一目均衡表です。
  • 世界中で親しまれている一目均衡表ですが、実はとても難解な仕組みとなっています。
  • スパンモデルは一目均衡表をベースに柾木氏が改造したもので、基本的な考え方は一目均衡表理論に基づいています。
  • しかしスパンモデルとしてカスタマイズしたことで、「買いか売りかを明確に示すことにより、曖昧さを徹底的に排除し、分析が瞬時にできる」ことが最大の特徴です。

7.2 スパンモデルと一目均衡表の違い

  • 一目均衡表でとくに重要とされている「雲」と「遅行スパン」だけを表示させてシンプルな表示となっています。
  • つまり「基準線」と「転換線」がないものがスパンモデルです。
  • また一目均衡表と決定的な違いが「雲の位置」にあります。

  • 一目均衡表

    スパンモデル
  • 一目均衡表の雲は直近のローソク足を含めて26本先行させて表示しているのに対し、スパンモデルでは雲を先行させず、現在の直近ローソク足の位置に表示されます。
  • スパンモデルと一目均衡表の違いをまとめると以下です。
  • 一目均衡表スパンモデル
    基準線なし
    転換線なし
    先行スパン1(26本分を先行)先行スパン1(先行なし)
    先行スパン2(26本分を先行)先行スパン2(先行なし)
    遅行スパン遅行スパン
1.ポイント!
  • 一目均衡表では先行する雲の厚さやねじれから相場の先行きを判断していくことができますが、スパンモデルでは現在の雲を見て相場予測をしていくことができる特徴を備えています

7.3 スパンモデルの見方と使い方

  • それでは、スパンモデルの雲と遅行スパンの使い方を見ていきましょう。
1.スパンモデル「雲」の見方
  • まずは「一目均衡表の雲」をおさらいしておきましょう。
  • 一目均衡表では「先行スパン1」と「先行スパン2」でできた範囲を「雲」と呼んでいます。

8.平均足

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8.1 平均足とは?

1.平均足とは?
  • 平均足は、トレンドの流れを視覚的に把握しやすいチャートです。
  • 例えば上昇基調が強いと陽線が連続し、下落基調が強いと陰線が連続し表示されます。
  • 平均足を表示させておけば、一目でトレンドの流れを把握できるので、売買判断を下しやすいチャートです。
2.平均足とローソク足の違い
  • 平均足はローソク足と似ていますが、前述したように平均足のほうがトレンドの流れを把握しやすいといえます。
  • 以下の画像は、平均足とローソク足を表示したチャートです。
  • ローソク足は陰線と陽線が不規則に出現しているのに対し、平均足は陰線や陽線が連続して出現していることが分かります。
  • ローソク足の場合、仮に相場が上昇と予測をしていても、陰線が続けばトレンド転換といった心理的な不安に襲われるかもしれません。
  • しかし平均足なら陰線や陽線が連続して出現するため、ローソク足よりもトレンドの流れが把握しやすいといえます。
  • また外為どっとコムの「外貨ネクストネオ」では、上記画像を見るとわかる通り、サブチャートに平均足を表示させることが可能です。
  • 1画面にローソク足と平均足を表示させられるため、どちらを使えばよいのか迷っている方にも適している取引ツールです。
3.平均足とローソク足の算出方法の違い
  • まずローソク足は、始値・高値・安値・終値といった4本値を1本の足で表示したものです。
  • 例えば日足の場合、前日の終値が100円であれば当日の始値は100円から始まります。
  • つまりローソク足は単純に始値が終値よりも安い場合は陽線、始値が終値よりも高い場合は陰線が表示されます。
  • 一方平均足では、1つ前の期間の始値と終値の平均値が始値となります。
  • 例えば日足の場合、前日の始値が100円、終値が101円であれば、当日の始値はその平均値の100円50銭となります。
  • また平均足の終値は、期間中の始値・高値・安値・終値の平均値が用いられます。
  • 例えば「始値100円50銭、安値99円、高値101円、終値99円50銭」であった場合、平均足の終値は4つの価格の平均値の100円となります。
  • つまり平均足は前日の始値と終値の平均値を活用するため、前日の真ん中から当日の始値が始まります。
  • 平均値を活用することで値動きのブレを減少させ、陽線や陰線が連続して出現しやすくなるのです。
  • また新しい足は必ず直前の足の真ん中から表示されるため、ローソク足で発生する窓(ギャップ)が発生することはありません。

8.2 平均足の使い方

  • 平均足には様々な使い方があります。ここでは代表的な平均足の使い方について詳しく解説します。
1.上ヒゲがある陽線の連続は上昇トレンド
  • 平均足チャートでは、上昇局面では上ヒゲのある陽線が続きます。
  • 上ヒゲの長い陽線が連続した場合、強い上昇トレンドであると判断できます。
2.下ヒゲがある陰線の連続は下降トレンド
  • 逆に下降局面では、下ヒゲのある陰線が続きます。
  • 下ヒゲの長い陰線が連続した場合、強い下降トレンドであると判断できます。
3.下ヒゲのある陽線は売り転換を示唆する
  • 下ヒゲのある陽線が現れた場合は、上昇力が弱まり、相場が下降へ転換することを示唆します。
4.下ヒゲのある陽線は売り転換を示唆する
  • 上ヒゲのある陰線が現れた場合は、下降力が弱まり、相場が上昇へ転換することを示唆します。
5.実体の長さはトレンドの強弱を示す
  • ローソク足と同様、平均足の始値から終値までの四角形の部分を実体といいます。
  • 平均足の実体の長さは、トレンドの強弱を表します。
  • 一つ前の足と比べて実体が短い平均足が現れた場合、トレンドの勢いが弱まっていることが読み取れ、トレンドの転換が予想されます。

8.3 平均足のデメリット

  • 平均足は上昇相場では陽線、下降相場では陰線が続くため、トレンドをひと目で把握しやすいというメリットがあります。
  • ただし、注意すべきデメリットも存在します。
1.レンジ相場では「だまし」が発生しやすい
  • 平均足はトレンドが発生している相場で活躍する反面、レンジ相場では使いづらいというデメリットがあります。
  • トレンド相場では「平均足が陽線に転じたら買い、陰線に転じたら売り」という判断が有効です。
  • しかし陽線と陰線が頻繁に入れ替わる傾向にあるレンジ相場では、このようなサインはダマシに終わる可能性があります。
  • 以下のチャートをご覧ください。
  • 上記チャートではレンジ相場を形成しており、陽線が連続して出現したが、トレンドが続かず下落しております。
  • このように陽線と陰線が頻繁に入れ替わる傾向にあるレンジ相場では、ダマシが発生しやすいと言えます。
  • また上記チャートを見ても、レンジ相場と判断するのは難しいかもしれません。
  • そこでボリンジャーバンドと平均足を組み合わせることで、相場状況をより分析しやすくダマシを防ぐことも可能です。
  • 以下で平均足とボリンジャーバンドを組み合わせた取引方法を紹介します。

8.4 平均足+テクニカル指標を組み合わせた取引方法

  • 前述したように、レンジ相場では平均足が使いづらくなってしまうことへの対策として、平均足とボリンジャーバンドを組み合わせる方法があります。
  • レンジ相場でエントリーポイントを探る場合は、ボリンジャーバンドの±1σや±2σのラインと価格の位置関係に注目します。
  • 価格の平均足が±1σや±2σのラインを超えたら、トレンド発生の可能性ありと見ることができます。
  • またボリンジャーバンドがエクスパンション(拡大)しているかにも注目しましょう。
  • ボリンジャーバンドがスクイーズ(収縮)している状態で±1σや±2σのラインを超えても、相場の勢いがなくダマシとなる可能性があります。
  • 平均足がボリンジャーバンドの±1σや±2σのラインを超えたのを確認し、さらにエクスパンションも確認できれば、より優位性のある取引が可能です。

以上